歴代首相が最高指揮官として参加し、陸海空3自衛隊が毎年持ち回りで開いてきた陸自の観閲式、海自の観艦式、空自の航空観閲式が、今後は中止されることが決まった。背景には、日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増して自衛隊の任務が過重になる中、現場が抱える深刻な人手不足がある。
防衛省?自衛隊が先月30日、突然発表した観閲式などの中止。実は半年以上前から慎重に内部で検討が進められてきた。
「国内外での訓練や派遣が増えており、海自の観艦式を今までのようなやり方で、続けるのは難しいのでは」。今年はじめ、東京?市谷の防衛大臣室。増田和夫?防衛事務次官(当時)が、中谷元?防衛相に切り出した。以来、制服組トップの吉田圭秀?統合幕僚長(同)らも加わり、議論を重ねてきた。最終的に中谷氏が陸海空の幕僚長らの意向を確認し、取りやめの方針を決めた。中谷氏は今月1日の会見で「熟慮を重ね、必要な訓練時間の削減を行い、毎年(観閲式を)実施していくことは隙間のない防衛体制を維持する上では困難であるという結論に至った」と語った。
■中止の要望、特に海自から…